パキスタン

眉氏、カラコルムハイウエーを行く
@ フンザまで

 1993年6月6日〜10日



ギルギットを出発

吊橋を渡る人


実のところ、眉氏(Mr.Gejimalle=ミスター ゲジマユ)が北部辺境州の首都、ギルギットに到着した時、パキスタン人の従者2名がついていたのである。

眉氏が中国国境までの個人旅行のアレンジを依頼したら、イスラマバードから勝手に(?)ついてきた。ギルギットに到着すると5名の出迎えを受けた。

彼らは骨組の立派な、その上、ひげだって天に向かって伸びている。それを見て、眉氏は跳び跳ねた。大柄な2メートルはありそうなパキスタン人に比べ、背の低さを気にしているらしい。今になって背が3メートルには伸びはしないのだが、気になるのだ。悪魔のばあさんがはくような、足首が縮まったスズボンをはいたパキスランの旅行関係者が、眉氏の頭を押さえ、地面に弾ませる。眉氏はゴムマリのように弾んでいる。


それでも、眉氏は鼻息が荒い。
これから約300Km先まで、フンザを通り、中国との国境、標高4950mのフンジェラーブ峠を目指している。

機会があれば、世界第2の高峰、K2を見ることができるかもしれない。インダス川に沿って、中国とパキスタンで建設したカラコルムハイウエーを、さあ出発だ。7000mから8000mの山々を目指そう。下から見るだけだけれどもね。




ジープの助手席には眉氏、後部の荷物置き場にはパキスタンの体格のよい、多分、品格も素晴らしい人々が5人も詰まっている。どうして? ガイドや何やら分からない人がいるんだろう。

眉氏はいささか貧相な体をいっそう小さくして黒い鞄を抱えている。中にはパスポートのほか、ほんの少額のドルが入っている。貧弱でやつれ果てた眉氏のように少しの現金だが、北部辺境に住む彼らにとっては大金だ。でもね、5人の男に触られたら、眉氏は失神してしまうだろう。



ギルギット
 標高1500メートル。ラカボシ(7780メートル)がよく見える。ホテルのテラスでミルクのたっぷりと入ったチャイを飲んでいると、景色がよいので時のたつのを忘れる。


イスラマバード
緑の多い都市だが、暑い。滞在していた時には49度に達した。
 公園には秋篠宮様と中曽根首相が植えた木があった。





フンジェラーブ峠
外国人が通過できるようになったのは最近のことである。海抜5000m。


K2
世界第二の高峰。馬鹿と眉氏は高い所に登りたがる。麓までは、ギルギットから1週間かかるとガイドは言う。美しいものには簡単に会えない。どの世界も同じです。


カラコルムハイウエー
1986年に完成とガイドブック。ひどい道。下は数100mの崖。死の恐怖。胃潰瘍が再発です。

チェックポイント、いたるところにある。

がけ崩れ、じっと待つ。

中国、新疆ウイグル自治区から来たトラック



北部辺境州
インドとパキスタン分離、独立の際、国境が確定していなかったとのこと。実態はパキスタンの覇権が及んでいる。



チェックポイントに到達

数軒、店が並んでいた。

スイカ、トマトを売っている。





フンザに到着

異邦人をじっと見ている。

見られると、ぎこちなくなってしまう。




インダスの濁った水がごうごうと音をたてて流れる。谷だ。周囲は草木のない岩山である。何時間も走ると、緑の集落が現れた。


麦畑。桃の花で周囲がピンク色に染まっている。まるで黒沢明監督の「夢」にでてくる桃の木の園だ。


そこで昼食である。なぜかパキスタン人は7名に増えている。カレーをナムで食べ、チャイを飲む。幸せだなあ。何でだろ。清らかな空気、冷たい水、白い山々を見ながらの食事だからか。でも、ちょっと気分が悪くなる。多分、このパキスタン人たちの昼食代は眉氏が払わなくてはならないからだ。眉が吊りあがってしまう。


ジープはすでに7時間も走っている。
眉氏はマレーシア製のリーバイスを着用しているが、急に尻の部分が薄くなってしまった気がする。悪路、細い道。下は数100mの崖である。この道路が昼食の後、ずっと続いている。


眉氏は手を会わせている。
日頃、仏を拝んだことはないのだが、この日は拝みっぱなしである。カラコルムハイウエーを走り、白い山々を目に焼き付ければ、死んでもいいと思っていたのだが、シープの手すりにしがみついている。



カリマバードに到着すると、チャイハネの周りに花が咲き、背後には雪をいただいた山がそびえていた。チャイを飲み、桃、ツグミを食べる。甘い。砂糖菓子のようだ。



でもちょっと内緒でお知らせします。眉氏はツグミを欲どおしく食べ、水をガブガブ飲んで、すぐにお腹をこわしました、とさ。





























カリマバード
住民はアレキサンダーの末裔とのこと。なるほど。白い皮膚、青い瞳。パリを徘徊するジプシーのような服装だ。


チャイハネ
お茶屋さん。カフェ。ミルクのたっぷりと入ったお茶(紅茶)とフルーツ。ケーキはケシキ(景色)で代用。山はホワイトケーキです。



ごはん、おやつ

おやつのツグミ、ビスケット

ホテルの中庭で!



ホテル



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